つみたて投資で負けるパターンの典型例

第二は、新NISAに限らずあらゆる投資は「負けたときにやめたら負け」だということ。当たり前だといわれそうですが、これをやってしまう人は意外と多いんです。特につみたて投資で負けるパターンというのは明確で、5年ぐらいダラダラと株価が上がり続けていたところに大きな下落局面が来て、動転してやめてしまうというもの。

それまで資産が順調に増え続けて楽しい思いをしていただけに、少し値下がりしただけで大ダメージを受けたような気になってしまうんですね。心理的にも、人は1万円を拾ったうれしさよりも1万円をなくしたつらさのほうが大きく感じるといわれています。それもわかりますが、でも負けた時点でやめたら当然ながらそのゲームは負けのまま終わります。

先ほど言った通り、長期で投資を続けていれば必ずどこかで暗黒の5年がやってきます。そんなときも、せっかく始めた積み立てはやめないほうがいい。長期投資は「資産を増やす」というオフェンス面だけでなく、「資産を守る」というディフェンス面でも効果を発揮するからです。

金融庁の調査によると、スタンダードな投資の場合、5年単位で見れば利益が出るケースも元本割れするケースもあるものの、これを20年単位で見ると元本割れしたケースはないことがわかっています。つまり、株価は高くなったり安くなったりはするけれど、20年というスパンで見れば投資をした人全員が得をしているのです。

【図表1】国内外の株式・債権に長期・分散投資した場合の収益率(実績)

そろそろ株価が下がり始める可能性が大きい

ですから、暗黒の5年が来たとしてもそこは我慢です。今年から新NISAを始めた人やこれから始める人は、ここ最近の株価が右肩上がりになっている状況だけを見て、今後も上がり続けていくようなイメージを持っているかもしれません。そうした思い込みはやめて、ちょっとした下落でガックリしないようにしてほしいですね。

現実的には、株価はそろそろ頭打ちして、短期的には下がり始める可能性が高くなっています。でも、開始から株価が5年間下がり続けてしまっても、コツコツとつみたて投資を続けていれば、6年目に株価が上昇すればプラスに転じる可能性は十分にあります。そうなれば下がった分は取り戻せますし、下がっている間に買い続けたことで株価が戻ったときに資産が大きくなっていることに気づくでしょう。この先ちょっとした下落があっても慌ててやめないようにしてほしいと思います。